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【ツボ】つぼって何?

よく、施術中に、そこはツボですか!?と聞かれることがあります。

あいまいな返事になってしまうことが結構あるのですが・・・。
なぜかというと、ツボの概念が、私たち鍼灸師と一般の方の感覚とはずいぶん開きがあるからです。

元々、「経絡・経穴(ツボのこと)」の概念が先にあったのではなく、「身体の反応点」や、「そこを刺激すると病状が回復する」といった経験値から、体系づけられまとめられ、数千年の時を越えて現代まで引き継がれてきた結果、「経絡・経穴」の概念として、存在していると言われています。概念より、経験が先にありました。

ですから、知識がなければ絶対に治療できないかというとそんなことはないのです。なぜなら、その概念の前に、「反応点がわかる」からなのです。この反応点をわかる感覚を無視して概念にこだわると、施術の幅はグンと狭まってしまうのです。数千年前の先人たちがやったのと同じように、感覚を大切にするのはとても重要な事です。

さらに言えば、鍼灸師一人一人、ツボの概念は違うといってもいいでしょう。

ですから、そこがツボですか、と言われると、ツボと言えばツボなのです。究極のツボの名前として「阿是穴(あぜけつ)」というのがあります。日本語にすると「ああ、ここ、ここ」です。これが、いわゆる反応点であり、反応点をすべてツボと呼ぶのです。

ツボといえば、一般的には、12正経(12の経絡ライン)における約360の経穴のことを指しますが、それ以外の「阿是穴」=反応点もツボですから、阿是穴を、ツボですか?と聞かれると、正確には「12正経のツボではありませんが、ツボです」ということになるのです。

余談ですが、鍼灸の手技は実はたくさんあって、ツボを使う人もいれば、ツボを無視して西洋的な筋・腱・筋膜・関節へアプローチする人もいます。日本発祥の経絡治療をする人もいれば、中国発祥の中医学を使う人もいて、どの療法を使うかによって、使うツボがすごく違いますし、鍼の深さもまちまちです。ですから、一概にツボに詳しいといっても、それが実践的手技に生かされないのであれば、ほとんど意味がありません。ですから、同じ鍼灸師でも、どこのツボに詳しいかは、手技により人それぞれ異なるのです。