長野県民でありながら、今まで一度も行きたいと思ったことのない上高地。なぜなら、物ごころついた頃から、上高地=人が多すぎる観光地、という印象があったからです。わざわざ人混みをかきわけて自然を見に行かなくても、自宅の目の前には美しい山々が広がっているからです。
ところが、今年の春以降、新型コロナウイルスの感染が落ち着いてきたころ、「上高地へ行くなら今がチャンス」という思いがふつふつと湧いてきました。
そんなある日、たまたま平日に空きができ、しかも梅雨の合間の唯一の晴れ予報。この日しかないと、急に思いたって、上高地へ行くことにしました。
それは、度重なる地震と雨による土砂災害により遊歩道が通行止めになっている期間でした。残念ながら、明神池方面に足を伸ばすことはできなかったのですが、その手前の岳沢湿原までは行くことができました。
上高地は、通行規制があり、途中でバスかタクシに乗り換えます。一番大きなさわんどバスターミナルに到着すると、400台ほど停められる駐車場には車は10台も停まっていません。シャトルバスは全便運休のため、1時間に一本ほどの路線バスに乗るのですが、このバス停から乗ったのはたった二人。
閑散としていて、人が全然いないわけです。おそらく、こんな光景を見ることは二度とないでしょうね。自粛明け間もなくで、まだ人もあまり動いてなかったのです。
上高地に到着すると、さすがにちらほら、人はいました。けれど、河童橋にも人がいない。ベンチも誰も座っていない。人がいないので、本来の自然のエネルギーがものすごくパワフルに感じられました。
河童橋周辺には、ちょっとおしゃれな雰囲気のお土産物屋さんやカフェもあり、やはり観光地なのだなと思わせます。しかし、少し奥へ入って行くと、本当に自然がそのまま残っていて、心地よい森の香りや、雰囲気が楽しめます。昔、人々がそこに神をみたのも、わかる気がしますね。
河童橋から1時間ほど奥へ歩くと、穂高神社があります。この地が神域であることがわかります。
この日は、大正池付近で熊が出没し、遭遇したガイドさんがスプレーで撃退したので気をつけてね、とすれ違った観光客の方に言われました。
わたしが上高地へ行ってから数日後、大雨により車道が通れなくなってしまい(その後復旧しました)、直感に従って動いて良かったなぁ~とつくづく思いました。
もう今は、シャトルバスも減便ですが運行を始め、上高地にもたくさんの人が訪れているそうです。